不登校の子どもと読みたいミヒャエル・エンデの2冊 ──『モモ』と『はてしない物語』

不登校の期間は、焦りや不安を感じることがあるかもしれません。でも、その時間は決して無駄ではありません。むしろ、普段の生活では見えなかった大切なものに気づくチャンスでもあります。

そんなときに読んでほしいのが、ミヒャエル・エンデの名作『モモ』と『はてしない物語』です。
今回は、この2作品がなぜ不登校の子どもにおすすめなのか解説しながらご紹介いたします。

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『モモ』── “時間”に追われる世界で、大切なものを考え直す物語

「時間どろぼうに盗まれた時間を、取り戻す方法を知っている?」

『モモ』の舞台は、時間に追われる大人たちの世界。街の人々は「時間貯蓄銀行」という組織の策略にはまり、「時間を節約しなければ!」と忙しく働き続けます。その結果、余裕がなくなり、楽しいことや心のつながりがどんどん失われていきます。

そんな中で、人の話をじっくりと聞く力を持つ少女モモが、この世界を救おうと立ち上がります。

『モモ』が不登校の子どもに寄り添える理由

  1. 「時間の使い方に正解なんてない」
    学校に行かない時間を「ムダ」と思うかもしれません。でも、この本は**「ゆっくり生きること」**の大切さを教えてくれます。社会は効率ばかりを求めがちですが、人生で本当に大切なのは「自分の時間をどう使うか」です。
  2. 「何者かにならなくてもいい」
    モモは特別な力を持っているわけではなく、ただ人の話をじっくり聞くだけ。でも、それだけで周りの人たちに大きな影響を与えます。不登校で「自分には何もない」と思っている人も、今のままで十分に価値があることに気づけるはずです。

『はてしない物語』──「自分を信じる力」をくれる壮大なファンタジー

『はてしない物語』の主人公は、いじめられっ子のバスチアン。彼は偶然手にした本『はてしない物語』を読んでいるうちに、本の世界「ファンタージエン」に入り込んでしまいます。そこで彼は「自分が物語を作る存在」だと気づき、次々と世界を創造していきます。

しかし、やがてバスチアンは、本当の自分を見失うという試練に直面します。自分が誰なのか、どう生きるべきかを見つけるための旅が始まるのです。

『はてしない物語』が不登校の子どもに響く理由

  1. 「物語をつくるのは、あなた自身」
    バスチアンは、「物語の世界」の中で自分の可能性を見つけていきます。この本は、「あなたの人生も、あなた自身がつくる物語だ」と教えてくれます。学校に行く・行かないにかかわらず、自分のペースで人生を創る考え方を知ることができます。
  2. 「本当の自分を見つける旅」
    バスチアンは、ファンタージエンの世界でさまざまな選択をしながら、「自分は何者なのか?」を考え続けます。学校に行っていないと、「自分はダメなのかも」と思うこともあるかもしれません。でも、「自分を探す時間」こそが、成長の第一歩なのです。

「本当に帰るべきところはどこなのか?」

『はてしない物語』の終盤で、バスチアンはこの問いに直面します。それは、きっと不登校の子どもが抱える「自分の居場所はどこ?」という悩みにもつながるはず。答えを探す旅は、決してムダではありません。

「今の時間も、きっと意味がある」

『モモ』と『はてしない物語』は、どちらも「時間の使い方」や「本当の自分を見つけること」について考えさせてくれる物語です。不登校の時間を「何もしていない」と思ってしまうかもしれません。でも、焦らなくても大丈夫。

モモのように、自分のペースで時間を大切にすること。
バスチアンのように、迷いながらも自分だけの物語を紡ぐこと。

今の時間は、きっと子どもの未来につながっています。
学校に行かない時間も、立ち止まることも、決してムダじゃない。

そんな気持ちになれる本です。
興味があれば、ぜひ親子で読んでみてくださいね。

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