社会福祉士が警鐘する「子どもを休ませるべき3つのサイン」

子どもが朝「学校に行きたくない」と言い出したとき、寄り添う言葉をかけつつも親の内心としては「甘えではないか」「頑張れば行けるのではないか」と思ってしまうことがあるかもしれません。

しかし、不登校の背景には心理的ストレス・発達の特性・家庭での環境・学校での環境など、子どもたち一人ひとりとってもさまざまな要因が絡んでいます。無理に通わせることで心身の状態が悪化し、さらに学校が「行きたくても行けない場所」になってしまうこともあります。

そこで、今回は社会福祉士の視点から「学校を休むべき子どものサイン」について解説します。これは不登校の長期化を防ぐだけでなく、子どもが健康に育つためにも重要なことです。

目次

1. 身体にあらわれるSOSサイン

子どもの不調は、仮に心が由来としても身体症状として現れることが多くあります。以下のような症状が続く場合、無理に登校させるのではなく休ませる選択肢を考えましょう。

  • 朝になると腹痛や頭痛を訴える(特に登校前)
  • 学校がある日に限って体調不良を繰り返す
  • 夜眠れない・朝起きられない(睡眠障害の可能性)
  • 食欲がない・急に食べ過ぎるなどの食行動の変化
  • 動悸や息苦しさを感じる(過呼吸が起こることも)

なぜ休ませるべき?
これらの症状が長引いたり、併発している際は「自律神経の乱れ」や「心因性のストレス」によるものがあるかもしれません。無理に登校を続けると、症状が悪化して慢性的な体調不良や適応障害を引き起こす可能性があります。

2. 行動パターンによるSOSサイン

子どもは自分の気持ちを言葉で表現するのが難しいことがあります。そのため、行動の変化に注目することが大切です。

  • 学校や宿題の話を避ける・極端に嫌がる
  • 登校時間が近づくとパニックや涙を流す
  • 好きだったことへの興味を失う(ゲームや読書も含む)
  • 部屋にこもる・家族との会話が減る
  • 急に攻撃的になる・イライラしやすくなる
  • 「死にたい」「消えたい」などの発言がある

なぜ休ませるべき?
これらはうつ症状や適応障害の前兆として表れることがあり、本人が休みたがっているところで無理をさせると心の負担が限界を超えてしまうこともあります。「様子を見る」だけでなく、適切なタイミングで休ませることで、子どもの心を守ることができます。

3. 学校環境で知るSOSサイン

子どもが学校を嫌がる背景には、以下のような学校環境の要因が関係している場合もあります。

  • 友達とのトラブルやいじめがある(直接的な被害だけでなく、孤立も含む)
  • 教師との関係でストレスを感じている(叱責が多い、否定される)
  • 授業についていけない・求められることが苦痛
  • 発達特性があり、集団生活がつらい(感覚過敏、対人関係の困難など)
  • 部活動の負担が大きい・指導が厳しすぎる

なぜ休ませるべき?
いじめや教師との関係が原因でストレスを抱えている場合、本人が休みたがっているところを無理に登校させると「助けてもらえない」と感じ、自己肯定感の低下や抑うつ状態につながります。また、発達特性に合わない環境では、学校そのものが強い負担になっている可能性があります。

学校環境に原因があると考えられる場合、一度学校を休ませ保護者による原因の追究・改善に着手したり、別の方法(フリースクール・転校など)を検討することも有効です。

学校を休むことは「逃げ」ではなく「守る」選択

「休ませたらずっと学校に行けなくなるのでは?」と不安に思う親御さんも多いかもしれません。しかし、子どもの状態が悪化する前に休ませることは、結果的に「回復の時間」になり、長期的な不登校を防ぐことにつながります。

例えば、風邪をひいたときに無理をすると、病気が悪化して長引くように、心の不調も無理をすると回復が難しくなります。

実際に、文部科学省の調査(※)によると、不登校の子どもは適切な休息と支援があれば、時間をかけて再び社会と関わることができるケースが多いことが分かっています。

「休むことは、立ち止まることではなく、回復のための時間」

と考え、必要なときに休ませることをためらわないでください。

休ませた後、親ができること

学校を休ませた後、親として何をすればよいのか悩むこともあるでしょう。以下のポイントを意識することが大切です。

「学校に行くかどうか」を急かさない
➡ 「いつ行くの?」と問い詰めると、余計にプレッシャーになります。

家で安心できる環境をつくる
➡ 叱らずに、話を聞く姿勢を大切にしましょう。

子どもの好きなことを尊重する
➡ ゲームや読書、創作活動など、好きなことがある場合は無理に制限せず、心の回復を優先しましょう。

相談できる人や機関を探す
➡ 学校のスクールカウンセラー、放課後等デイサービス、児童相談所、フリースクールなど、外部の支援機関を活用するのも選択肢のひとつです。

まとめ:子どもの「心の声」に気づき、守る選択を

不登校は決して珍しいことではなく、「子どもが自分を守るためのサイン」であることが多いのです。

  • 身体症状(腹痛・頭痛・睡眠障害など)が続く
  • 情緒や行動に大きな変化がある(涙、暴力、無気力など)
  • 学校環境に問題がある(いじめ、教師との関係など)

これらのサインが見られたら、まずは「無理をさせない」ことを大切にしてください。

子どもが安心して休める環境をつくることが、回復の第一歩です。
「学校に行くかどうか」ではなく、「子どもの心と身体が健康でいられるか」を優先して考えていきましょう。

あなたとあなたのお子さんが、少しでも安心して過ごせる時間を持てますように。

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