0歳~2歳:乳児期のADHDとは?発達障がい診断前でも改善できる接し方

ADHDとは、日本語で「注意欠陥・多動性障害」と呼ばれ、“Attention Deficit/Hype-ractivity Disorder” の頭文字を取ったものです。最近は、大人になってから診断され初めて知る「大人のADHD」などで広く話題になり、あらゆる世代に周知され始めていますね。その症状名にあるように、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特性があります。

まず初めに言いたいのは、「ADHD的な特徴は、多くの乳児・幼児に当てはまる」ということです。もしかしたらこのサイトを閲覧している方は、「1歳半の息子がいつも動き回っている」など、ADHDを疑い、心配しているのではないでしょうか?

今回の記事は、「乳児期におけるADHDについて」と、「ADHD的な特徴・行動に対して実際に行う接し方」の、大きく分けて2つのテーマをご説明いたします。

ああ~!ちょっと待って~!
わァーーー!!!!(公園を走り回る)
はぁっ・・・手も繋いでくれないし、外に出ればすぐどっか行っちゃうよ・・・全然じっとしててくれない!
集団検診でも一人で目立っちゃってたし・・・もしかして、うちの子って「発達障害」なのかな・・・?
お母さん!ちょっと待ってください!
わ!!誰!?
通りすがりの社会福祉士です。お母さん、今2歳のお子さんの発達障がいを心配しているのではないでしょうか?
発達障がいと一括りに考えるのは適切ではありません。疑わしいと思っている性格を振り返って考えてみましょう!さらに言えば、2歳のわんぱく坊やは「ADHDにカウントされちゃう瞬間」をほとんど持っているんです!
目次

乳児期におけるADHDの特徴とは

ADHDの診断は早くて4歳以降

冒頭でお話ししたとおり、乳児期で表れるADHD的行動には多くの乳児が該当します。そのため、「ADHDの診断がつく領域かもしれないし、そうではなく改善されていくかもしれない」ということ。この項目では、4歳以降で用いられる「DSM(精神障害/疾患の診断・統計マニュアル)-5」から、具体的な診断基準チェックリストをご紹介します。

1.不注意

以下の6つ以上が年齢不相応に6か月以上持続する

  • 細やかな注意ができず、ケアレスミスをしやすい。
  • 注意を持続することが困難。
  • 上の空や注意散漫で、話をきちんと聞けないよう見える。
  • 指示に従えず、宿題などの課題を果たせない。
  • 課題や活動を整理することができない。
  • 精神的努力の持続が必要な課題を嫌う。
  • 課題や活動に必要なものを忘れがちである。
  • 外部からの刺激で注意散漫となりやすい。
  • 日々の活動を忘れがちである。

2.多動性・衝動性

以下の6つ(17歳以上は5つ)以上が年齢不相応に6か月以上続く

  • 着席時に、手足をもじもじ、そわそわした動きをする。
  • 着席が期待されている場面で離席する。
  • 不適切な状況で走り回ったりよじ登ったりする。
  • 静かに遊んだり余暇を過ごすことができない。
  • 衝動に駆られ動かされるように、じっとしていられない。
  • しゃべりすぎる。
  • 質問が終わる前にうっかり答え始める。
  • 順番待ちが苦手である。
  • 他の人の邪魔をしたり、割り込んだりする。

それに加えて

  • これらの症状のいくつかが、12歳より前に見られた
  • これらの症状のいくつかが、自宅と学校など状況の違う2つ以上の場所で見られる
  • これらの症状は学校や職場での活動に明らかな障害となり、活動の質を低下させている明確な証拠がある。
  • その症状は、統合失調症、またはほかの精神病障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患では説明されない。
なんか、項目がどれも「もっと大きい子が対象」って感じで、ピンと来るような来ないような・・・
その通り!項目を見てわかる通り、「幼稚園・学校に行ってからはっきりする」項目が大多数ですね。そのため、乳児期にADHDを疑い診断を受けることは少数です。
ただ、まだ幼いわが子と対峙するママ・パパの目線では、「じっとしていられない」など該当することに目が留まるかもしれませんね。

乳児期で気になる「ADHD的な行動」とは

乳幼児期の発達相談で良く挙げられるのは以下の項目です。

  • 着席時に手足をもじもじ、そわそわした動きをする。
  • 着席が期待されている場面で離席する。
  • 不適切な状況で走り回ったりよじ登ったりする。
  • 静かに遊んだり余暇を過ごすことができない。
  • 衝動に駆られ動かされるように、じっとしていられない。
  • 順番待ちが苦手である。
繰り返しになりますが、上記のような性格は「乳幼児期」「活発な子」によくあるものであり、「年齢に相応している」と言えます。これらの特徴が年齢不相応な段階まで続くときに、ADHDの診断が下りるのです。そのため、2歳時点で上記性格を持ち合わせている場合は「ADHDかもしれないし、そうではないかもしれない」としか言えないのが現状です。

もしADHDだった時の「これから」

乳児期にはほとんど診断がつくことのないADHDですが、4歳以降から診断がつく可能性が出てきます。知識として簡単に「これから」のことをご紹介します。

もし発達障がいだったら、一般クラスや就職、大学進学なども難しいのかな・・・?大人になってからも苦労したりとか・・・
そう決めつけることはありません!ADHDはさまざまな程度がありますし、多くのADHD所有者は特に大きなトラブルなく、学童期等を終えています。また性格に寄り添い適切な導き方をすれば、望む就労就職の可能性もグンと上がります。

ADHDは改善される

ADHDの症状は、改善することができます。それは「投薬」という方法も確立しているほか、「ふさわしい接し方・選択の仕方」によって、ずっと生きやすくすることができます。ADHD特性の一部である「多動性」「衝動性」は年齢を重ねるにつれ落ち着いてくることも多く、どちらかというと「不注意」項目の方が社会に出てから悩みの種になるようです。項目を一部見返すと、確かに「一般企業に所属したら問題になりそうな特性」が多く含まれています。

  • 細やかな注意ができず、ケアレスミスをしやすい。
  • 注意を持続することが困難。
  • 上の空や注意散漫で、話をきちんと聞けないよう見える。
  • 指示に従えず、宿題などの課題を果たせない。
  • 課題や活動を整理することができない。
  • 日々の活動を忘れがちである。

これらの不注意症状も、ある日突然消失することはありません。学童期からの療育や放課後等デイサービス利用などで改善を試みることが肝心です。乳児期の今でも、支援センターに相談を行なえば早期療育を勧めて貰えることもありますので、まずは自治体を頼ることが良いでしょう。療育に通うところまでは行かなくとも、専門の方が相談に乗ってくれるのでおすすめです。

ADHD症状が落ち着いても「忘れないで」

最近メディアやSNSで、「大人のADHD」や「自称ADHD」など、様々なワードと併用されて話題になるADHD。「大人のADHD」に関しては、学童期では発見されずに大人になってから受診し診断が下りた、ということなので、ある日突然ADHDになることはありません。従来の医学ではADHDを「軽視する疾患」「大人になると改善される疾患」と思われてきた歴史もあり、大人のADHD診察・治療に乗り出したのはここ最近の事なのです。大切なのはやや症状が落ち着いてきたとしても、診断されたらADHDを無かったことにせず、個人個人に適した選択をしていくことです。

家庭でできる「乳児期のADHD的行動」への接し方

ADHDとは?乳幼児期の特徴と対策
それでは最後に、家庭で行える0歳~2歳の子に対する「ADHD的行動」への接し方をご紹介します。
うまくいかない時の方が多いかもしれませんが、対策選択肢の一つとしてお考えくださいね。

じっとしてほしい時は「やることを与える」

歩き始め・走り始めのころは、子どもたちは動くことが楽しくて仕方ありません。更に好奇心旺盛な子は、「あれはなんだ!?」「触ってみたい!」とコロコロ思考が変わります。特に普段の生活範囲ではない場所においては、「病院の奥はどうなっているんだろう?」「電車内はガタガタしてて面白い!」という「トクベツさ」が前面に出てきますね。

「病院は静かに待たなければならない」「日本の電車内は静かに過ごす」という社会倫理的なことは、まだわかるはずがありませんが、伝えることは大切です。わかりやすく簡潔に、短く伝えましょう。「〇〇ちゃん、病院ではママの横に座ってね」など、その子に合った話し方をしてあげましょう。

よほど聞き分けのいい子はそれで解決ですが、子どもが「手持ち無沙汰」な時は、常に楽しいものを探してしまいます。そのため、絵本や新しいおもちゃ、シールブックなど「やること」を与えましょう。子どものツボを突いた時、集中は途切れ途切れでもやってくれるかもしれません。

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毎日の流れをわかってもらうには「習慣づけ」

予定が決まっている日に限ってずっと部屋で遊んでいる、いつまで経っても着替えようとしない…乳幼児期によくあることですよね。子どもにとってとても大切なのが「習慣づけ」です。簡単なルールを作ると、乳幼児期の子どもの心と体は整いやすくなります。

時計や言葉で説明しても、2歳くらいまでの子はほとんどわからず、体感的にしか知らせることができません。そこで、絵付きのスケジュール例や、絵カードを使うことが効果的です。視覚に訴えることで、言葉を理解しにくいお子様も、言いたいことを理解しやすいです。

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まとめ

いかがでしたか?乳児期のADHDについて、少し参考になりましたか?
ADHDを感じさせる性格のお子さんを、ここまで無事に育てられておられるのです。それだけでもう自信を持ってくださいね!
また、ADHDをはじめ、発達相談を行なえる場所はたくさんあります。「発達相談 (自治体名)」などで検索しても出てきますから、直接話されたら良いと思います!

個別サポート・放課後等デイサービス

このコラムサイト『たいようの手帖』は、群馬県高崎市に存在する放課後等デイサービス「サン」グループの合同会社ジェニュインが運営しており、年齢に応じた発達障害の相談を受け付けています。

「うちの子はどうだろう?」「発達障がいかもしれないけど、相談してよい場所がわからない」「わんぱくな子供がずっと一緒だから外に出かけられない」…そんなお悩みがお待ちではないですか?群馬県高崎市近郊にお住まいの方は、一度お問い合わせくださいませ。

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就労準備型放課後等デイサービス

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